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世界遺産高野山

​世界遺産高野山

 成16年(2004)高野山は「紀伊山地の霊場と参詣道」の名前でユネスコ世界遺産に登録されました。弘仁7年(816)に弘法大師が真言密教の根本道場を開かれてから1,200年もの歴史と伝統が積み重ねられてきました。

 高野山には多数の文化財や史跡があり、多くの人の信仰をあつめてきました。

 しかし、高野山がもつ一番の魅力は歴史と伝統に育まれた精神性です。高野山のいたるところで感じられる静けさや心地よさが1,200年もの長い間、人々の心を魅了し続けてきたのです。

​ 誰かがつくった小さな雪だるまからも「いのち」を感じることができます。今にも話し出しそうな雪だるまに耳を傾けてみると今の自分に一番大事な何かを語りかけてくれるかもしれません。

壇上伽藍

 1,200年前、弘法大師は世界初の本格的な密教伽藍を開くことを発願されました。その壮大な計画に基づいて完成したのが現在の壇上伽藍です。多くの堂塔が甍を競って建ち並ぶ様子は、大宇宙のエネルギーを基本とするダイナミックな真言密教の教義を感じさせてくれます。同時に、言葉では言い表せない繊細な精神性が参拝者の心にしみこんでいきます。

 春先の深い霧に包まれた御影堂前にたたずむと、1.200年前にこの場に立たれた弘法大師の息吹が感じられるような気がします。

大門夕景

 野山全体の山門である大門から見る夕日は絶景です。

弘法大師以来、数え切れないほど多くの人々がこの地で夕焼けを見ながらため息をついたことでしょう。大門からの夕景が呼び起こす記憶は、どれも家族の食卓のような優しさと感謝にあふれています。

​ 大門の夕景は「日本の夕陽百選」にも選ばれています。

大塔の鐘

(高野四郎)

野山には鐘の音がよく似合います。

壇上伽藍の大塔の鐘は高野四郎の名で親しまれてきました。

 この鐘は1,000年以上もの永きにわたり、高野山に時を刻んできた「時の鐘」であり、現在も午前4時、午後1時、午後6時、午後9時、午後11時に厳かな時を告げています。

​ 鐘の音が体全体に響き渡るとき、心の中に不思議な安堵感がひろがります。

壇上伽藍の修行僧

 野山には現在も1,000人もの僧侶がいるといわれます。

香色の袈裟に身を包んで、壇上伽藍を一心に巡拝する姿は真言密教の根本道場を代表する風景のひとつでしょう。

 厳しい修行を続ける修行僧が胸に秘めた熱い思いを伺い知ることはできませんが、一点を見据えたまなざしからは篤い信仰に深く根ざした信念のようなものが感じられます。

​花折坂の石仏

 人堂を過ぎて不動坂への途中に花折坂があります。その名は徒歩で不動坂を登山してきた参拝者が、高野山に入る直前に神仏にお供えするための供花を手折ったことに由来しています。また、​花折坂には石仏や宝篋印塔が祀られ、多くの人々の信仰をあつめてきました。

​ その昔、この地で花を手折りながら高野山に参拝することができる嬉しさをかみしめていた様子が容易に想像できるのです。花折坂で静かに目を閉じると、多くの人々の篤い信仰を感じることができます。

壇上伽藍雪景

 上伽藍に雪が積もると、不思議なほどの静けさに包まれます。耳をふさいだような静寂が充満するのを感じながら歩をすすめると、雪景色と共にドームのような空間で護られているように感じるのです。

 肌を刺すはずの冷気も優しく頬を撫でていきます。なにか見えない力が包み込んでくれているのです。

​ 厳寒の高野山。ほとんど人通りがない季節だからこそ感じることができる贅沢な一瞬です。高野山に住まいする多くの人が、涼しく過ごしやすい夏よりも冬の厳寒季をこよなく好む理由がここにあります。

​高野山の魅力

 野山の魅力は何でしょうか?

 悠久の大自然?連綿と伝わる堂塔?人々の信仰をあつめてきた仏像などの文化財?味わい深い精進料理?人々が感じる魅力はさまざまです。

 しかし、それら高野山の魅力すべてに共通しているのは、静けさ、優しさ、柔らかさのような気持ちの良い感覚です。

 すべての人に心地よさを感じさせてくれる見えない力がはたらいているのです。弘法大師は高野山のことを「法身の里」と表現されました。法身というのは大日如来の力そのものであり、大宇宙のエネルギー本体を意味しています。

 是非、高野山にお越しいただき、その精神性に触れていただければと思います。そうすれば、心がみずみずしく潤うのが感じられるかもしれません。

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